不安

ボサノヴァ教室の先生から「発表会の日程が決まりました。○月×日です」と言われて「!!?」とオーバーリアクションしてしまいました。近いとかそういう話でなく、発表会なるものがあることすら知らなかったのです。大体いまのスキルで何を人前で演奏しろというのでしょう。だましだましミニマルでもやればいいのでしょうか。

 

この教室に通い始めてもう半年くらいでしょうか。友達の働くカバン屋に程近いこの教室は場所柄か、いろんな国の人が来ています。僕の前の時間は、サリーを纏ったご婦人が、ウクレレを習っています。自分も含めいろんな国が音楽を通じて交叉しているというのは、なんだか愉快な気持ちになります。

 

朝の出勤前に通っているので、その日のおさらいをすぐできないのが玉に瑕ですが、それでも日々発見続きです。ぼくはコード進行にとても興味があるので、理論を聞く時間もすごく楽しいです。ボサノヴァボサノヴァたるコードの動きってありますよね。例えば普通はⅡm7-Ⅴ7-Ⅰ、といくところをⅡm7-Ⅱ♭7-Ⅰ△7と動かすような感じ。家に楽器がある人は知ってる曲の「Ⅱm7-Ⅴ7-Ⅰ」をこう変えて弾いてみてほしいのですが、もう途端にアプレミディです。だけどこれを「オシャレな」と捉えるのは少しピント外れみたいです。先生によるとボサノヴァクリシェは着地するようでしない、感情で言うと「不安」に近い響きなのだそうです。

 

なんとなく「自分が何故ボサノヴァを習っているか」が、この話で分かった気がしました。ぼくは「安心」より「不安」に、音楽の興味があるんですね。そしてこれを「美しさ」とは絶対呼びたくない。ここが分かれ目なのです。

 

若山