悪人

「悪人」を出会い系アプリを活用して帰ってきてから観るもんじゃないですね。「怒り」の前哨戦のようなつもりで借りてきたのですが。Twitterを定期的に見なくなって、ネタバレが皆無なのが何よりです。

 

樹木希林のコントさながらの「擬婆」っぷりに心底萎えた以外は面白かったです。純愛を祀り上げそうな瞬間がけっこうあってヒヤヒヤしましたが、そうじゃなかった。人を殺した妻夫木と庇う深津、ふたりが愛し合いながら逃亡するのですが、警察に捕まる直前、妻夫木が深津の首を絞めるのです。ここで「愛し合う」を頂きに仰ぐ秩序が崩れます。この「不可解な首絞め」は「双方向」から「一方通行」へのドラマの切り離しのようなものと映りました。この切り離し行為が愛だったのかどうかは、はっきりと描かれていません。ただこの世には、「一方通行」がそれなりの必然を持って存在するのだということだけは言えそうです。「あいつは罪を犯したのだから悪人だ」という認定などはそうでしょう。そういえば恋愛については、厳密にいえば実証できるのは自分の気持だけで、どんな状態であれ、「一方通行」であるより他ないと思うことがぼくはあります。

 

明日は出張なのにうっかり語りまくってしまいそうです。ろくに本数観てない人間の映画論ほど興ざめするものは無いですね。ところでぼくが今日「出会い系アプリ」で待ち合わせした彼は、「彼氏を作ったことが無いし、そもそも"彼氏"とは何なのかわからない」と最後に言いました。その気持ちわかる~、と言えちゃうのが悲しいのですが、しかしまあ、それをぼくに言わないでくれよと思います。「不可解な首絞め」から関係を始めようとするようなもんじゃん、と...

 

若山