Go West

詩人の友達とお茶した後で「山河ノスタルジア」を観てきました。彼からはずいぶん前に「とにかくPSBに掴まれる」と聞いていたのですが、観終わって、まんまとPSBを借りに行く羽目になりました。賛否あるようですが、個人的に今年一番の作品です。

 

ボーゼンとしてつまらない批評をする気が起らないので、雑談を書きます。時系列で三編あるうち最後の一編、近未来である2025年のシークエンスに出てくる若い俳優が、去年2回会った中国の男の子にそっくりでした。年齢は違うでしょうが、そのまま7、8歳加齢させた感じで、目も鼻も生え際も本当に似ていたのです。

 

彼は通信関係にとても詳しかった。うちの回線やルーターを(頼みもしないのに)一緒に見てくれて、Wi-Fiを使えるようにしてくれたり。携帯フォンのプランもどうすれば安くなるか事細かに教えてくれました。ぼくが話す日本語に時々わからない個所があるらしく、電気辞書で引いては滑らかな英語で翻訳をします。「やぶさかでない」を気に入って、何度も口に出していました。出張中の関西から電話してくれたこともありました。

 

今はどういうわけか更に西のほう、たぶんオーストリア(ラリア、だったら映画と一緒でしたね)辺りにいるようです。仕事の関係らしく、果たしていつ帰ってくるかもわかりません。もしかしたらこれきりという気もします。去年ぼくは彼に「近しさ」を感じることができず、なかなか「会おう」と言わなかった。しかしまた会う約束は、「近しさ」を媒介に交わされるべきものでしょうか。知らない場所、国、言葉の話を、共感なんかあてにせずただ聞けばよかった。今度一緒に行こうなんてあてのない約束だって、してみればよかった。

 

若山